FX会社をスプレッドで徹底比較!
FX会社を選択する上で、スプレッドは無視することのできない重要なポイントです。
主要なFX会社の多くは取引手数料無料となっているので、スプレッドが唯一の手数料とも言えます。
各FX会社のスプレッドを比較することで、FX取引にかかるコストを抑えることができます。
以下は、国内の主要なFX会社、人気の高いFX会社のスプレッド比較一覧です。
※スプレッドは原則固定(例外あり)です。(SBI FXトレード、セントラル短資FX、FXプライムbyGMO、外為オンライン、ヒロセ通商(米ドル円のみ)、JFX(米ドル円のみ)を除く)
※―は原則固定スプレッドの対象外です。
※パートナーズFXnanoのスプレッドは、米ドル円、ユーロ円、豪ドル円、ユーロドルは1回あたりの注文数量1万通貨まで、ポンド円は5千通貨まで適用です。
※外為どっとコムはキャンペーンスプレッドです。(対象期間:2023年1月4日(水)午前9時〜2023年2月4日(土)午前3時、提示時間帯:午前9時〜翌午前3時)
※LINE FXの通貨ペア・スプレッド一覧はこちらを参照。上記は10月1日(金)までのキャンペーンスプレッドです。
※SBI FXトレードのスプレッドは1注文あたり100万通貨までの場合の条件です。
※FXプライムbyGMOのスプレッドは例外あり、米ドル円は1取引で10万通貨以下の場合です。対象時間:午前9時〜翌午前4時まで
※スプレッド調査日:2023/1/26 各社公式HPより
スプレッドとは?
スプレッドとは、FXをはじめとした為替取引における「買値」と「売値」の差額です。
上記の為替レートを見てみると、売値よりも買値の方が0.2銭高くなっています。
つまり、上記の為替レートで買い、為替レートが動く前に売りを行ったとしても、0.2銭分がコストとしてかかることになります。
1,000通貨単位の取引を行った場合には、以下の計算式でスプレッドコストを算出することができます。
1,000×0.2銭=200銭=2円
スプレッドはFX取引における実質的な手数料で、FX会社はスプレッドによる差額で収益を上げています。
スプレッドは差が大きければ大きいほど、実質的な手数料が高いと考えることができます。
手数料は安ければ安い方が利益は残りやすくなるので、スプレッドが狭いFX会社の方が有利と考えることができます。
固定スプレッドと変動スプレッド
スプレッドの提示方法は大きく2種類に分けると、「原則固定スプレッド」と「変動スプレッド」になります。
国内のFX会社では原則固定のスプレッドが主流となっていますが、海外のFX会社には変動スプレッドのところもたくさんあります。
変動スプレッドとは?
FXは通貨の交換であり、「買いたい人」と「売りたい人」が取引することで成立します。
「買いたい人」と「売りたい人」の交換希望レートは一定ではなく常に変化しているので、為替レートも刻一刻と変動しているのが本来のかたちです。
わたしたち個人トレーダーがFX会社を通して取引する際にも、為替レートは常に変動しているのが通常です。
原則固定スプレッドとは?
原則固定スプレッドのFX会社では、変動スプレッドとは異なり、スプレッドを固定してレート配信しています。
スプレッドが一定の数値に固定されていることで、トレーダーにとっては手数料が分かりやすく、精神的に安心してトレードができます。
なお、上記一覧表に記載のあるFX会社の中では、唯一SBIFX トレードだけは変動スプレッドとなっています。(1,000通貨までの取引では固定スプレッド)
また、注意しておきたいのは原則固定スプレッドの中の"原則"という文字です。
その言葉の通り「原則としてスプレッドを固定する」という意味であり、タイミングによっては提示している固定スプレッドよりも拡大することもあります。
スプレッドでFX会社を比較する際の注意点
スプレッドはFX取引を行う上での実質的な手数料となるので、当然ながら安いに越したことはありません。
しかし、スプレッドが狭いことばかりに目を向けていると、思わぬところで無駄なコストがかかっている可能性も考えられます。
FX会社をコストで選ぶ上では、「スプレッドの拡大」と「約定力」についても確認しておく必要があります。
以下に、「スプレッドの拡大」と「約定力」について順に解説していきます。
スプレッドが広がりにくいFX会社を選ぼう
原則固定スプレッドのFX会社であれば、とにかくスプレッドが狭いFX会社の方が有利なのかというと、一概にそうとは言えません。
なぜなら、原則固定スプレッドが提示しているスプレッドはあくまで"原則"であって、それよりも広がることもあるからです。
コストの安いFX会社を選ぶのであれば、原則固定スプレッドが狭いだけではなく、スプレッドが広がりにくく安定しているFX会社を選ぶ必要があります。
スプレッドはなぜ広がる?
スプレッドが広がる要因にはいくつかありますが、代表的なのは「重要指標の発表時」です。
重要指標の中でも最も代表的なのものには、米国雇用統計があげられます。
米国雇用統計はアメリカの雇用情勢を示す統計データで、アメリカの景気情勢を知る上で非常に重要な指標となっています。
米国雇用統計は毎月第1金曜日に発表されますが、発表直後に為替相場が大きく変動するのはよくあることです。
米国雇用統計の発表の直後は相場が荒れやすいため、スプレッドも拡大しやすい時間帯となっています。
また、ニューヨーク市場がクローズする直前も、スプレッドは広がりやすい傾向にあります。
為替市場の一日は、ニュージーランドのウェリントン市場から始まり、香港、中東、ロンドンを経由して、最後にニューヨーク市場で一日の幕を下ろします。
世界には時差があるため各国市場のオープン時間が異なるわけですが、特に為替市場の取引が活発になるのはロンドン時間とニューヨーク時間です。
一日のうちで最も為替相場が盛り上がる時間帯を超えると、ニューヨーク市場がクローズする時間に向けて、多くの市場参加者が取引を終えます。
為替市場の参加者が少なくなると、スプレッドは広がりやすくなります。
上記のような理由から、市場参加者が少なくなるNYクローズ直前、つまり日本時間の午前5時〜8時頃にかけては、スプレッドが広がりやすくなっています。
また、重要指標発表時やNY市場クローズ以外にも、各国の要人の発言により為替相場が大きく動くことがありますが、このような際にもスプレッドは拡大することがあります。
スプレッドは本当に重視するべき?
スプレッドはFX取引における実質的な手数料ですが、取引スタイルによってはスプレッドはそれほど気にする必要のない要素です。
例えば、米ドル円1,000通貨単位の取引を行った場合を例にあげてみます。
100円で買って101円で売った場合
米ドル円1,000通貨単位を100円で買い101円で売った場合、為替差益は1,000円となります。
1,000×100円=10万円
1,000×101円=10.1万円
米ドル円のスプレッドが0.2銭のFX会社で取引を行った場合、1,000円の為替差益を得るためにかかったスプレッドコストは2円です。
つまり、利益のうちスプレッドによる手数料が占める割合は、わずか0.2%となります。
利用したFX会社の米ドル円スプレッドが0.3銭だったとしても、スプレッドコストとして増えるのはわずか1円、利益に対して0.1%です。
また、大きな為替差益を狙おうとするほど時間が経過する必要があるため、取引頻度も少なくなる傾向にあります。
取引頻度が少ないとスプレッドとして手数料を取られる機会も少ないため、さらにスプレッドが利益に与える影響は小さくなります。
次に、スプレッドの影響を受けやすい取引スタイルについて見ていきます。
100円で買って100.10円で売った場合
米ドル円1,000通貨単位を100円で買い、そこから10銭上昇した100.10円で売った場合、得られる為替差益は100円となります。
1,000×100円=100,000円
1,000×100.10円=100,100円
100円の利益を得るためにかかったスプレッドコストは、先程と同じく1,000通貨×0.2銭=2円となります。
したがって、利益に占めるスプレッドの割合は2%と先程の10倍になります。
このように小さな為替差益を狙ったトレード手法では、取引回数を増やすことで利益を積み上げます。
1,000円の利益を得るためには同じ取引を10回繰り返す必要があるため、スプレッドとして支払う手数料は2円×10回=20円となります。
比較的小さな為替差益を狙うデイトレードや、数秒〜数分単位で売買を繰り返すスキャルピングと呼ばれる取引手法では、取引回数が増えるためスプレッドによる影響を受けやすくなります。
以上のことから、スプレッドでFX会社を選ぶべき人、反対にスプレッドの影響が少ない人は以下のようになります。
- デイトレードやスキャルピングをする人
- 小さな為替差益を狙う人
- 取引回数の多い人
- 中長期の取引を行う人
- 大きな為替差益を狙う人
- 取引回数の少ない人
FX会社を選ぶポイントは、スプレッド以外にもいくつかあります。
スプレッドの影響が少ない取引スタイルの方は、以下の記事を参考にして最適なFX会社を選びましょう。
約定力が強いFX会社を選ぼう
FX取引においては、自分が意図していない価格で約定してしまうことがありますが、これをスリッページと言います。
FXのインターネット取引では、お客様がPCやスマホから出した注文がFX会社のサーバーに到達して、そこではじめて取引成立(約定)します。
FX会社のサーバーに到達するまでに僅かなタイムラグがあるため、相場が激しく乱高下している時間帯などに取引をすると、注文を出した価格とズレて約定することがあります。
注文した価格で約定させる"強さ"をFX業界では約定力と言いますが、FXにかかるコストを考える上では、約定力の強さも考慮しておくことが重要です。
どんなにスプレッドが狭いFX会社であったとしても、狙った価格で約定できなくては結局のところコストはかさむことになります。
FX会社のスプレッドを比較する上では、「スプレッドの拡大率」と「約定力」についても知ることが大切です。
水上 紀行
バーニャ マーケット フォーカスト代表
1978年三和銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。著書はこちら
Twitter:@mizukamistaff
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